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  ニュース     2025/05/20 20:50

シンガポール:シングテル、高速通信「5Gプラス」提供開始 無料記事

 シンガポール通信最大手シンガポール・テレコム(シングテル)は15日、第5世代(5G)より通信速度が最大4倍速い「5Gプラス」通信サービスを開始した。高速かつ高セキュリティーの接続サービスにより他社との差別化を図るもので、追加料金なしで既存の5Gユーザー約150万人が利用を開始した。

 ストレーツタイムズによると、月額24.5シンガポールドル(約2700円)の基本プラン「SIMオンリー・ライト」より約10シンガポールドル以上高い「SIMオンリー・プラス」や「ウルトラ」「L」といったプランに加入するユーザーがピーク時も含めて無料で5Gプラスを利用できる。通信速度が最大4倍となってストリーミングやオンラインゲーム、ビデオ通話の品質が向上するほか、リアルタイムでのサイバー脅威検出・遮断など、セキュリティー機能も強化されるとしている。

 5Gプラスは、物理ネットワークを仮想的に分割して特定のサービスに利用する「ネットワークスライシング(専用通信帯域)」技術を用いて提供。これを一般消費者向けに全国展開するのはシングテルが世界初で、仮想上で「専用レーン」を増やすことでピーク時の通信量増加に柔軟に対応する。また、波長が長く障害物を貫通しやすい700メガヘルツ(MHz)の低周波数帯に切り替えることで、高層階やエレベーター内部でも通信可能としている。

 シングテルは2022年までに5G基地局2000カ所の整備を完了。これによりシンガポールは世界で初めてスタンドアローン型の5G通信網を全国展開した。一方でモバイル通信のプロバイダーは18社以上に増え、価格競争も激化。こうした中でシングテルは過度な価格競争には踏み込まず、通信速度や接続の安全性、サポート体制などで差別化を図る方針としている。

 同社はネットワークスライシングに関し、韓国・現代自動車や国立大学保健システム(NUHS)、シンガポール航空などの法人向けに提供して実績を重ねており、一般消費者向けに今回適用を拡大した格好。今後は30年前後の商用化が見込まれる第6世代(6G)通信や衛星通信技術の活用を視野に入れ、通信インフラの高度化を進める方針だ。


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