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  ニュース     2025/05/22 20:59

シンガポール:1QのGDP成長率、3.9%に減速=確定値 無料記事

 貿易産業省は22日、2025年第1四半期の実質国内総生産(GDP、確定値)成長率が前年同期比3.9%だったと発表した。速報値(3.8%)からやや上方修正されたが、前四半期(5.0%)からは減速。前四半期比(季節調整済み)では0.6%のマイナスとなり、8四半期ぶりのマイナス成長に転じた。貿産省は、米中の関税緩和によって外需見通しはやや改善したとしつつも、リスクは依然下方に傾いているとしている。

 第1四半期の成長は、製造業、卸売業、金融・保険業などがけん引した。米国の追加関税発動を見越した前倒し需要が一因とみられる。一方、宿泊業や飲食業は低調で、観光需要の鈍化や国内消費の停滞が影響した。

 より具体的にみると、生産部門のうち製造業の成長率は前年同期比4.0%で、電子や精密機器、運輸工学分野が全体を押し上げた。ただし前四半期の7.4%からは減速した。建設業は5.5%で、前四半期から伸びが加速。公共・民間建設ともに好調だった。

 サービス業は3.6%に鈍化。うち運輸・倉庫(5.2%)や不動産(7.1%)は伸びが比較的高く、卸売(4.2%)と金融・保険業(4.5%)も堅調だった。一方、小売り(0.1%)は微増にとどまり、宿泊(マイナス0.9%)と飲食サービス(マイナス0.2%)は落ち込んだ。

 貿産省は今回、25年のGDP成長率見通しを従来と同じ0.0~2.0%に据え置いた。米中の通商摩擦が緩和に向けて一定の進展を見せたことを踏まえたもの。ただし、再び関税措置が再燃するリスクや、世界的な景気減速による輸出・投資の落ち込みへの警戒感は依然強く、慎重な姿勢を崩していない。

 民間企業では、OCBC銀行のアナリスト、セリーナ・リン氏が25年の成長率を1.6%と予測。第1四半期に前倒し需要が発生した反動で、第2四半期以降の成長はさらに鈍化すると予想している。関税交渉が恒久的な合意に至らなければ、ビジネス信頼感や投資意欲が長期にわたって損なわれる可能性もあるとした。

 また英オックスフォード・エコノミクスのシーナ・ユエ氏は、シンガポールの輸出がGDPの170%に相当する点を挙げ、米国の関税政策の影響は不可避になると指摘。成長率は第2四半期以降さらに減速するとして、25年通年で1.6%の成長を見込んでいる。


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