ニュース 2025/07/01 21:59 NEW!!
ベトナム:欧州企業の景況感、4四半期ぶり低下も楽観圏 
経済・統計 ベトナム
今回のアンケート調査は、6月10~25日にかけて加盟企業1400社以上に送付され、176社から回答を得た。国際的な貿易摩擦の激化や米国の相互関税導入の影響が懸念される中で、企業の見方には慎重さと前向きな姿勢が交錯した。
ベトナムの経済環境について「中立」と回答した企業が39%、「楽観的」または「非常に楽観的」とした企業が合わせて43%を占めた。一方、「悲観的」とする回答は11%にとどまり、前四半期(10%)から小幅の上昇にとどまった。中長期の展望では78%の企業が今後5年間でビジネス環境が改善すると予測しており、構造的な成長への期待は根強い。
ベトナムを投資先として引き続き推奨すると答えた企業は72%で、前回調査(68%)からやや上昇した。企業の間では、サプライチェーン(供給網)の再編や地政学リスクを踏まえた「回復力ある投資先」としてベトナムを評価する声が多く、原産地証明の発行手続きや行政手続きのデジタル化が進んでいることも、信頼感を下支えしている。
一方で、事業運営上の主な障害としては「行政手続きの煩雑さ」が63%と依然最多だった。具体的には、外国人専門家の労働許可取得(回答企業の33%)、消防規定や企業登録、輸出入手続き(いずれも28%)、税務(26%)やビザ申請(21%)などが課題として挙げられた。政府が導入を進めている電子ID「VNeID」も、外国企業にとっては登録不可の状態が続いており、制度運用の改善が求められている。
20年に発効した欧州連合(EU)・ベトナム自由貿易協定(EVFTA)については、メリットを実感している企業が増えている。EUとの貿易で「明確なメリットがある」とする企業が61%に達し、前年同期(29%)から大きく上昇。EU・ベトナム間の貿易量も20年比で40%増加しており、政策効果が着実に表れている。
ユーロチャムのブルーノ・ヤスパート会頭は、「今回の結果は、地政学的緊張が高まる中でも、ベトナムが引き続き有望な投資先として認識されていることを示している」と説明。ただし制度的な進展が必要とし、行政改革やインフラ整備、ビザ制度の簡素化を含む包括的な制度改革を政府に求める姿勢を強調した。
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