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  ニュース     2025/05/11 21:59 NEW!!

マレーシア:中銀が政策金利据え置き、12会合連続 無料記事

 マレーシア中央銀行は8日、定例の金融政策決定会合の結果、翌日物政策金利(OPR)を3.00%に維持する決定を下したと発表した。据え置きは2023年7月から12会合連続。物価の安定と経済成長のバランスが取れており、現行の金利水準が適切と判断した。

 中銀は政策金利を据え置いたものの、金融市場の不安定化リスクに備え、資金流動性の確保を目的として法定準備率(SRR)を2%から1%へ引き下げると発表。今月16日付で適用する。これにより銀行システムに約190億リンギ(約6430億円)の資金が供給される見通し。ただし中銀は、SRRの引き下げはあくまで流動性管理の手段で、金融政策スタンスを示すものではないと強調している。

 中銀は国内経済について、25年第1四半期も内需と輸出の拡大によって成長が継続したと分析。今後も雇用や賃金の改善、所得支援策、公共・民間双方の大型事業の進展などが消費と投資を下支えするとしている。一方、米国による新たな関税措置や各国の報復措置、地政学的リスクなど、外部環境の不透明感が高まっており、下振れに警戒を示した。

 25年のインフレについては、第1四半期に1.5%、コア指数も1.9%と低水準で推移しており、年間を通じて管理可能な範囲にとどまるとの見方を示した。世界的にコスト上昇圧力が緩和し、国内でも過剰な需要がみられないことが理由。ただし物価の上振れリスクは、国内政策措置の波及効果の程度や、世界の商品・金融市場、貿易政策を巡る外部の動向などに左右されるとしている。

 通貨リンギについては、引き続き外部要因によって左右されるとしつつも、国内の経済見通しや構造改革、資金流入促進策が下支え要因になるとした。

 世界経済の見通しについては、労働市場の堅調さや金融政策の緩和的な方向転換、財政刺激策により成長は維持されると分析。ただし、貿易摩擦や地政学リスクなどの影響で、金融市場の変動が激しくなる可能性があるとしている。

 こうした中で中銀は、物価の安定と持続可能な経済成長の両立を図るため、今後も内外情勢を注視しつつ、柔軟に対応していく方針を示している。


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