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  ニュース     2025/07/10 20:58 NEW!!

マレーシア:中銀が5年ぶり利下げ、景気下支え 無料記事

 マレーシア中央銀行は9日、定例の金融政策決定会合の結果、翌日物政策金利(OPR)を0.25ポイント引き下げ、2.75%に改めると発表した。利下げは2020年7月以来、5年ぶり。世界経済の先行き不透明感が高まる中、緩やかなインフレの下で金利を引き下げ、景気下支えを狙う。

 利下げはアナリストの間でも意見が割れ、ロイターが実施した調査では、31人のエコノミストのうち17人が利下げを予想していた。中銀は今回の決定について、「国内経済は堅調に推移しているが、外部環境の不確実性が高まっている」と指摘。利下げは景気後退の予防的措置で、物価安定を維持しつつ、安定した成長経路を確保すると説明した。

 今回の会合は、トランプ米大統領がマレーシア製品に対する25%の関税措置を発表した翌日に開かれた。中銀は声明で、世界貿易の減速や地政学的リスクの高まりがみられる中で、金融市場や商品価格の変動幅が拡大し得るとし、警戒感を示した。

 国内総生産(GDP)など第2四半期の経済統計はまだ発表されていないが、中銀は、内需と輸出を中心に拡大が継続していると説明。雇用・賃金の改善や所得支援策によって個人消費が堅調に推移しており、電気・電子製品の輸出や観光需要の回復も成長を後押ししているとした。また公共・民間の大型事業が進展し、投資活動も底堅いとしている。

 一方、インフレ率は25年1~5月平均で1.4%、コア指数は1.9%と低水準で推移。中銀は、国内需要の過度な拡大がみられず、世界的なコスト上昇圧力も限定的であることから、安定した物価水準が維持されるとの見方を示した。一方で、今後の国内政策や国際情勢によっては、物価に影響が及ぶ可能性にも言及している。

 為替については、リンギは引き続き外部要因に左右されるとしながらも、良好な経済見通しや構造改革、資金流入促進策が下支え要因になると分析。中銀は今後も、物価の安定と持続可能な経済成長の両立を図るため、国内外の情勢に注視しつつ柔軟に対応していく方針を示している。


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