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  ニュース     2025/05/19 20:56

マレーシア:豪ライナスが重希土生産開始、中国国外で世界初 無料記事

 豪レアアース大手のライナスは16日、電気自動車(EV)のモーターなどに使われるジスプロシウム(Dy)の分離・加工をクアンタン州の精錬工場で開始したと発表した。中国以外で重希土類の分離・加工ラインが稼働するのは世界初という。来月にはテルビウム(Tb)の生産も始める予定で、供給網の多様化を進める。

 現地法人のライナス・マレーシアが運営するゲベン工業団地の製錬施設内に新たな分離ラインを設けた。豪州西部のウェルド山鉱床から採掘した鉱石を原料とし、既存の抽出設備と接続してジスプロシウムを分離・精製する。

 ライナスはこれまで、重希土類を含む化合物を分離せずに販売していたが、今回の新ライン稼働によって高付加価値製品を自社内で供給できる体制を確立した。ジスプロシウムやテルビウムは日本や米国、欧州の顧客に供給する。

 ストレーツタイムズによると、ライナスは販売価格について、中国以外を原産とする希土類の需要が高いことから、それに応じた水準になると説明している。

 ジスプロシウムとテルビウムは、保磁力を高める目的でネオジム磁石に添加され、EVのモーターや風力タービン、電子機器などに使用される。現地法人のラインアップはこれら2種に加え、◆サマリウム(Sm)・ユーロピウム(Eu)・ガドリニウム(Gd)の未分離化合物◆ホルミウム(Ho)濃縮物◆これら6種を含む希土類化合物――の5種となる。

 ライナスは米テキサスにも精錬工場を建設する計画。中国への依存を減らしたい米政府はこの案件に2億5800万米ドルのインセンティブを付与することで合意している。


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