自動車製造を主軸とするベトナム複合企業大手のチュオンハイ・グループ（THACOグループ）はこのほど、自動車子会社のTHACOオートを通じ、独ダイムラーと共同開発したメルセデス・ベンツ・ブランドの高級バス「RS1936」をタイに初めて輸出した。タイは東南アジア最大の自動車産業拠点で、同市場に向けた輸出はベトナムの自動車業界にとって大きな一歩となるとしている。トイチェーなどが伝えた。

　輸出したバスは43人乗り・全長12メートルで、メルセデス・ベンツのシャシーをベースに、THACOの研究開発（R&D）チームが顧客の要望に合わせて内外装などを設計。現地の道路環境に適した車体剛性や走行性能の最適化にも取り組んだ。

　エンジンは独ダイムラー製の6気筒ディーゼルターボで、最大出力360馬力。独ZF製の自動化手動変速機（AMT）を搭載し、スムーズな変速と燃費性能を両立した。補助機能として自動緊急ブレーキや車線逸脱警報、クルーズコントロールなども備える。

　THACOグループは、2017年にダイムラー傘下の三菱ふそうトラック・バスと提携し、商用車の技術移転と販売を開始。18年からは東南アジア市場を見据えたメルセデス・ベンツ・ブランドの高級バス開発を進め、22年に新型モデルを正式投入しており、今回の輸出はその成果の一環となる。

　製造はTHACOが中部クアンナム省で運営する「THACOチューライ自動車機械工業団地」のバス工場で手掛けた。ERP（統合基幹業務システム）やロボットの導入によって自動化やデジタル化を進めており、製造工程は欧州経済委員会（ECE）の品質基準に適合。世界市場への輸出拠点として機能している。

　THACOオートは今後、輸出先の拡大を視野に入れ、製品の多様化と現地ニーズへの最適化を進める方針。同社はトラックやバス、トレーラーなど商用車のほかにも、マツダや韓国・起亜、仏プジョーなどの乗用車を扱っている。


内容についてのお問い合わせは＜info@ashuir.com＞まで。