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  ニュース     2025/10/14 20:56 NEW!!

シンガポール:金融政策を2会合連続維持、国内経済堅調で 無料記事

 シンガポール金融管理局(MAS)は14日、四半期ごとの金融政策見直しに関する声明を発表し、金融政策を維持すると発表した。米国による関税措置の影響で貿易が鈍化する中でも、国内経済は底堅く推移しており、現行の政策が中期的な物価安定と景気支援の両立に適していると判断した。

 MASは主要貿易相手国の通貨に対する為替レートの誘導目標を通じて金融政策を運営。通貨バスケットに対するシンガポールドルの名目実効為替レート(NEER)の傾斜(上昇ペース)、中央値、許容変動幅を今回いずれも据え置いた。MASは今年1月と4月に2会合連続で傾斜を引き下げ、シンガポールドルの上昇圧力を緩和する措置を講じていた。

 貿易産業省によると、2025年第3四半期の実質国内総生産(GDP)は前年同期比2.9%となり、第2四半期(4.5%)から減速したものの、市場予想を上回った。米国の相互関税発動を前に世界的に輸出の前倒しが発生し、製造業や消費関連分野を中心に成長を下支えした。今後は、AI(人工知能)関連投資の拡大が製造業の支援要因となる一方、前倒し需要の反動で貿易関連部門の伸びが落ち着く見通しという。

 米国は4月に一律10%の輸入関税を導入し、10月からは特許薬などに対して100%の関税を発表した。ただし、米国内に製造拠点を持つ企業は対象外で、シンガポールの主要製薬企業への影響は限定的とみられる。それでも、半導体分野などに追加関税が及べば、同国経済の下押し圧力となる可能性があるとしている。

■インフレ予想レンジを縮小

 MASは物価動向について、25年のインフレ率予想を0.5~1.0%とし、前回会合の0.5~1.5%の下半分に狭めた。一方、26年の予想は0.5~1.5%とした。輸入コストの低下や介護補助金の拡充などで当面は低水準が続く見通しだが、26年にかけてエネルギー価格の下げ止まりや賃金上昇により、緩やかな上昇に転じるとみている。

 MASは声明で、外部環境の不確実性が続く中、米国による関税の実施状況や経済成長、物価動向に注視し、必要に応じて柔軟に対応する姿勢を示した。


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