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  ニュース     2025/06/10 20:55

ベトナム:EVのビンファスト、1Qは2.5倍増収も赤字拡大 無料記事

 国産電気自動車(EV)メーカーのビンファストは9日、2025年第1四半期の決算を発表した。売上高は前年同期比2.5倍の16兆3064億ドン(約907億円)に大きく拡大。EV納車台数が4.0倍の3万6330台、電動バイクも5.7倍の4万4904台と大幅に伸びた。ただ先行投資や販促費が収益を圧迫し、純損失は20.0%増の17兆6938億ドンに膨らんだ。

 EV販売は好調で、国内では少なくとも4月まで8カ月連続で市場首位を維持。これに海外展開が加わって大幅な販売増につながった。欧州や北米では直営店からディーラー中心に切り替えて効率よく販売網を拡大させており、販売店はEVが世界388店、電動バイクが357店となっている。販売は一般消費者向けが大半を占め、企業向けはEVが全体の21%、電動バイクが3%にとどまった。

 損失は膨らんだものの、粗利益率は前年同期のマイナス58.7%からマイナス35.2%に改善。販売台数の増加によるスケールメリットやコスト構造の見直しが貢献した。また前四半期に一括計上した無料充電キャンペーン(総額5兆9000億ドン)の費用計上がなかったことで、粗利率は前四半期のマイナス79.1%からも大きく改善している。

 レ・ティー・トゥー・トゥイ会長は、同社にとって第1四半期は納車が例年低調となる時期だが、25年は前年上半期を既に上回ったと説明した。今後も需要に対応した新モデルを投入する方針で、11月には小型商用EV「ECバン」を発売する予定。小型EVバス「EB6」も9月に発売し、年末にはスクールバス仕様の投入も計画する。

 またインドネシアでは同国4モデル目となる「VF6」を発売し、フィリピンでは提携企業を通じて70カ所超のサービス拠点を展開予定。インド・タミルナドゥ州では組立工場を7月にも稼働させる。

■在庫や借り入れが2桁増

 急速な市場拡大を目指す一方で、3月末の在庫は前年末比17.8%増の32兆8735億ドンに拡大。借入金も短期・長期合計で10.9%増の68兆7149億ドンに達するなど、資金負担は一段と重くなっている。

 こうした財務状況を下支えするのが、親会社ビングループとその創業者であるファム・ニャット・ブオン会長の資金支援。24年11月の発表によると、26年までに最大85兆ドンを追加注入する方針で、5月末までに約5兆1000億ドンの融資と無償支援を実行した。こうした支援がある中でコスト削減や販売体制の拡充を進め、25年の納車台数を前年比で倍増させるとしている。


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