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  ニュース     2025/08/03 20:55 NEW!!

マレーシア:新たな5カ年計画発表、経済成長4.5~5.5%目標 無料記事

 政府は7月31日、2026~30年の国家開発計画「第13次マレーシア計画(13MP)」を発表した。実質国内総生産(GDP)成長率の目標を年平均4.5~5.5%に設定し、民間消費や投資を成長のけん引役に位置付ける。電気・電子製品(E&E)の輸出強化やハラル産業の振興、AI(人工知能)や再生可能エネルギー分野での主導的地位の確立を掲げる。同日付各紙が伝えた。

 産業別の年間成長率は、製造業で5.8%、サービス業で5.2%、建設業で5.0%を目指す。農業は1.5%、鉱業は2.8%と控えめだが、鉱業については天然ガスと原油の増産が支えになるとしている。

 計画実現に向けては、5年間で6110億リンギ(約21兆円)の投資が必要と試算。うち政府の開発支出は4300億リンギで、2270億リンギを経済セクターに充てる。国家レベルの公共投資案件には1200億リンギを確保し、官民連携(PPP)案件には610億リンギを割り当てる。公共投資は年率3.6%、民間投資は同6.0%で成長させ、それぞれ年平均1129億リンギ、4179億リンギの実行を目指す。

 貿易面では、輸出伸び率の目標を年平均5.8%とし、30年までにE&E輸出額を1兆リンギに近づけることを目指す。輸入は6.1%の伸びに抑え、貿易収支は年1163億リンギの黒字を維持。経常収支は30年までに国民総所得(GNI)比2.2%とする。イスラム教の戒律に沿うハラル製品の輸出額は800億リンギに引き上げ、同産業のGDPに占める割合を11%に高める。

 また、欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)交渉の再開や、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)、包括的および先進的環太平洋連携協定(CPTPP=TPP11)、マレーシア・トルコFTA(MTFTA)など既存協定の活用を強化。中国・ロシアなどで構成するBRICSや、東南アジア諸国連合(ASEAN)との連携も深め、輸出先の多様化を進めるとしている。

 財政面では、赤字を30年末までにGDP比3.0%未満へ抑制し、政府債務も60%以下に抑える方針。インフレ率は2.0~3.0%の範囲で安定させ、1人当たり収入は7万7200リンギへの引き上げを目指す。完全雇用の実現も目標に掲げる。

 成長の質の向上に向け、AI技術関連の研究と人材育成、商業化を進める「国家AI行動計画2030」や、産業高度化を図る「新工業化基本計画(NIMP)」、「国家半導体戦略(NSS)」、「国家エネルギー転換ロードマップ(NETR)」などの実行を加速させる。電源に占める再エネの割合は現行の29%から30年に35%へ引き上げ、原子力発電の導入も検討する。


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