ニュース 2025/11/13 19:59 NEW!!
シンガポール:全国賃金審議会、低所得者に最大7.5%昇給勧告 
経済・統計 労働 シンガポール
政労使3者の代表で構成するシンガポール全国賃金審議会(NWC)は11日、2025年12月~26年11月を対象とする賃金・雇用指針を公表し、月額2700シンガポールドル(約32万円)以下の低所得労働者に対する5.5~7.5%のベースアップを勧告した。業績が好調で見通しも良い企業に対しては、最低でも105~125シンガポールドルの昇給を提示するよう求めた。ストレーツタイムズなどが12日付で伝えた。
法的な強制力はないものの、人材開発省(MOW)は同日、同審議会の指針を全面的に受け入れたと発表した。
同審議会は、米国の関税措置による外需減速や企業マインドの軟化など、足元の経済環境には不透明感が残ると指摘した。貿易産業省の予測では、25年の国内総生産(GDP)成長率は1.5~2.5%にとどまる見通しとなっている。ただ25年上半期の労働生産性は前年同期比2.9%増と堅調で、16~24年の年平均2.5%増と合わせ、賃金は生産性に沿って伸ばすべきとの立場を改めて強調した。
今回公表した指針では、企業の賃金柔軟性を確保するため「柔軟賃金制度(FWS)」の全面導入を全企業に促した。景気悪化時には賃金調整で雇用を維持する一方、好転時には人材流出を防ぐため迅速に賃金を引き上げる仕組み。24年時点でFWSのいずれかの構成要素を導入した企業は76%に達したものの、両方を導入した企業は9%と低水準にとどまっている。
同審議会は今回、低所得層の処遇改善策として、「職能別累進型賃金(OPW)」の賃金表と職務体系も更新した。これに基づくと、フルタイムで働く事務職・運転手の約5万7600人のうち、92%は24年時点で給与水準が新基準未満で、26年7月以降に賃金引き上げの対象となる見通し。企業には26年まで賃上げを政府が一部肩代わりする賃金改善クレジットが自動付与され、コスト負担を軽減する。
人材開発省は声明で、今回の指針は「意味のある賃上げと企業の持続可能性を両立させるもの」と評価。AI(人工知能)を含む技術変化が加速する中、企業には事業変革・業務改革の継続、労働者にはスキル向上を呼び掛けた。また、賃金格差の縮小に向けて政府と労使が一体となって取り組む姿勢を示した。
内容についてのお問い合わせは<info@ashuir.com>まで。
法的な強制力はないものの、人材開発省(MOW)は同日、同審議会の指針を全面的に受け入れたと発表した。
同審議会は、米国の関税措置による外需減速や企業マインドの軟化など、足元の経済環境には不透明感が残ると指摘した。貿易産業省の予測では、25年の国内総生産(GDP)成長率は1.5~2.5%にとどまる見通しとなっている。ただ25年上半期の労働生産性は前年同期比2.9%増と堅調で、16~24年の年平均2.5%増と合わせ、賃金は生産性に沿って伸ばすべきとの立場を改めて強調した。
今回公表した指針では、企業の賃金柔軟性を確保するため「柔軟賃金制度(FWS)」の全面導入を全企業に促した。景気悪化時には賃金調整で雇用を維持する一方、好転時には人材流出を防ぐため迅速に賃金を引き上げる仕組み。24年時点でFWSのいずれかの構成要素を導入した企業は76%に達したものの、両方を導入した企業は9%と低水準にとどまっている。
同審議会は今回、低所得層の処遇改善策として、「職能別累進型賃金(OPW)」の賃金表と職務体系も更新した。これに基づくと、フルタイムで働く事務職・運転手の約5万7600人のうち、92%は24年時点で給与水準が新基準未満で、26年7月以降に賃金引き上げの対象となる見通し。企業には26年まで賃上げを政府が一部肩代わりする賃金改善クレジットが自動付与され、コスト負担を軽減する。
人材開発省は声明で、今回の指針は「意味のある賃上げと企業の持続可能性を両立させるもの」と評価。AI(人工知能)を含む技術変化が加速する中、企業には事業変革・業務改革の継続、労働者にはスキル向上を呼び掛けた。また、賃金格差の縮小に向けて政府と労使が一体となって取り組む姿勢を示した。
内容についてのお問い合わせは<info@ashuir.com>まで。














