マレーシア中央銀行は28日、2025年の国内総生産（GDP）成長率予測を4.0～4.8％に下方修正したと発表した。3月時点では4.5～5.5％としていたが、米国の相互関税を巡る不確実性や地政学的な緊張の高まりなど、世界的な経済環境の変化を反映した。電気・電子製品や観光業の堅調な動きはプラス要因となるものの、今後の世界動向によってはこれらに下振れリスクが残るとしている。

　中銀は、マレーシアは小規模で開かれた経済で外部環境の影響を受けやすいが、現在は堅調な内需を背景にこれらの逆風に立ち向かっていると強調。今回の予測は、関税交渉の結果によって生じうる最良から最悪のシナリオを幅広く想定したとしている。

　中銀は25年第2四半期のGDP成長率速報（4.4％）を含む最新の経済指標が依然として経済の底堅さを示していると説明した。個人消費については、内需主導型産業の雇用改善や政策支援を受けて堅調に推移しており、複数年にわたる大型インフラ事業の進展や、承認済み投資の着実な実現も投資拡大を後押ししているという。

　一方、25年のインフレ率予測は3月時点の2.0～3.5％から1.5～2.3％に引き下げた。コストと需要の伸びが緩やかで、世界的な価格上昇圧力も限定的であることなどが理由。インフレ率は引き続き管理可能な範囲にとどまるとみている。

　中銀は7月9日、世界経済の不透明感が強まる中、5年ぶりに利下げを実施。緩やかなインフレ環境を踏まえ、政策金利を引き下げることで景気を下支えする姿勢を鮮明にした。


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