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  ニュース     2025/10/14 20:57 NEW!!

マレーシア:26年度予算案を発表、補助金削減も歳出拡大へ 無料記事

 政府は10日、2026年度の予算案を発表した。歳出は25年度案より11.6%多い4700億リンギ(約16兆8900億円)とし、過去最高を更新。補助金の削減で得た財源を教育や医療、半導体、人工知能(AI)など成長分野の投資に振り向ける方針を示した。一方、炭素税の導入や酒・たばこ税の引き上げなどで歳入を拡大し、財政赤字を国内総生産(GDP)比3.5%に縮小させる計画としている。各紙が伝えた。

 アンワル・イブラヒム首相兼財務相が国会で明らかにした。歳出は政府の報告書で直前に示していた4192億リンギから引き上げた。26年のGDP成長率は4.0~4.5%と、25年の4.0~4.8%からほぼ横ばいを見込み、半導体やAI関連機器の輸出拡大、インフラ整備の加速が成長を支えるとみている。

 補助金改革では、燃料や電力の一律補助を段階的に廃止し、低所得層など支援が必要な層に限定して支給。これにより年間155億リンギの削減効果を見込み、教育・医療・社会保障の強化に充てる。一方、最低賃金の再引き上げや公務員給与制度(SSPA)の第2段階実施により、内需の下支えを図る。

 歳入は前年比2.7%増の3431億リンギに設定。資源収入に依存した財政からの脱却を目指す中、国営石油ペトロナスからの政府配当は17年以降で最低となる200億リンギとする。一方、26年から鉄鋼・エネルギー業界を対象に炭素税を導入するほか、25年11月からは酒類・たばこの物品税を引き上げる。また電子インボイス制度(eインボイシング)の完全実施により、課税・徴税を徹底する。

 政府は財政赤字を28年までにGDP比3.0%へ引き下げる中期目標を掲げる。アンワル首相は、「改革、財政規律、制度強化という困難な道を選ぶことで、長期的な国家の安定を確保する」と述べた。一方、成長分野への投資にも注力する。政府系投資会社のカザナ・ナショナルを通じてレアアース下流事業では中国企業と連携し、またAI分野では研究開発(R&D)に59億リンギを投じる計画としている。


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