サラワク州クチンで整備される都市軌道交通向けに、水素を燃料とするゴムタイヤ式の「スマート軌道電車（ART）」がこのほど中国から到着した。2025年末の商業運転開始に向け、来月から2カ月間の試運転を行い、その後公道で実証実験を進める。実現すれば、水素を利用したゴムタイヤ式の都市交通システムは世界初になるという。ポールタンが24日付で伝えた。
　クチン都市交通システム（KUTS）向けに投入されるARTで、鉄道車両の世界最大手、中国中車（CRRC）が設計・製造を手掛けた。仮想軌道追従機能と完全電動ゴムタイヤ式車両を採用し、路面電車（トラム）と公共バスの長所を併せ持つ。まず1編成（3両）が到着しており、来月1日から2カ月間の試運転を実施。11月からは3キロメートルの公道で実証実験を行う。
　KUTSでは、第1期に全長70キロメートルの3路線を整備する計画。まずはクチン中心部のヒクマ・エクスチェンジからコタサマラハンのレムバスまでのブルーラインを25年第4四半期に商業運転する計画で、残りは27年までに完成させる。
　ARTは中国国内でこれまでに四川省宜賓市、湖南省株洲市、江蘇省蘇州市、陝西省西安市、黒竜江省ハルビン市などの都市で導入されている。昨年の報道によると、同国内外の40都市が採用意向を示しているという。
　中国中車は15年の大再編で誕生した鉄道車両製造の世界最大手。機関車、客車、貨車など各種鉄道車両の製造を手掛ける。中国政府が進める「鉄道輸出」戦略の先鋒として、世界各地に鉄道車両を納入している。


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