【亜州ビジネス編集部】政府は、2021年の財政赤字目標を対国内総生産（GDP）比で従来の5.4％から6.0％に引き上げた。財政支出を拡大し、新型コロナウイルス禍で打ち出した支援策をさらに手厚くする。ザ・サン・デイリーが28日付で伝えた。

　これにより21年末時点の政府債務は、対GDP比で従来予想の58.0％から58.5％に拡大する見通し。国会は20年8月、新型コロナ流行による経済的打撃を考慮し、政府債務の法定上限を60％に引き上げることを承認していた。政府は財政支出の拡大によって、新型コロナ抑制策と景気支援策をさらに進める。

　政府は、米国などでの財政支出拡大やワクチン接種の進展を受け、21年は世界経済が回復基調になると予想。マレーシアのGDP成長率は第1四半期に前年同期比マイナス0.5％となったが、20年第4四半期のマイナス3.5％から下げ幅が縮小しており、21年3月に限ると前年同月比で6.0％成長するなど、回復を見せているとしている。

　ただし国内外でダウンサイドリスクは拭えないと指摘。ワクチン接種が進むものの、新型コロナ変異種へのワクチン有効性が定かでないことが主因としている。一方、現在発令している活動制限令（MCO）の第3弾は最大でGDPを1.0ポイント押し下げると予想。ただこれを踏まえても21年通期のGDP成長率は6.0〜7.5％になるとみている。


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