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  ニュース     2022/10/11 21:59

マレーシア:23年度予算案を国会提出、コロナ明け歳出縮小 無料記事

【亜州ビジネス編集部】政府は7日、2023年度予算案を国会に提出した。新型コロナウイルス流行が落ち着く中、減税や現金給付は的を絞って行い、歳出を減らして財政健全化を進める。各紙が伝えた。
 歳出は22年度見込みから3.4%減らして3723億リンギ(約11兆6600億円)とする。うち人件費や行政サービス費などを含む基礎的支出は2723億リンギ、公共投資などの開発支出は950億リンギ。歳入は4.4%減の2726億リンギに設定した。財政赤字は国内総生産(GDP)比5.5%で、22年見込みの5.8%から低下させる。
 予算策定に当たり、23年のGDP成長率は4.0〜5.0%を想定。22年見込みの6.5〜7.0%から減速するとみている。国内消費の伸び率は22年の6.3%から5.1%に減速すると予想。23年のインフレ率は2.8〜3.3%を想定しており、22年見込みの3.3%を上回らないとみている。失業率は23年に3.5〜3.7%となり、22年見込みの3.8〜4.0%から改善すると見込む。
■現金給付など選挙見据えた大衆迎合との声も
 23年度予算案では、現金給付や補助金、インセンティブに550億リンギの予算を確保。所得層の下位40%に相当する世帯「B40」への給付制度「マレーシア家族支援(BKM)」を通じ、870万人に計78億リンギを現金給付する。これとは別に低所得の45万世帯に対して計25億リンギを現金給付する。
 また中所得層向けに減税を行う。年収5万〜10万リンギに対して所得税を2%カットする内容で、5万〜7万リンギについては13%から11%に、7万〜10万リンギについては21%から19%に下げる。一方、25万〜40万リンギの高所得帯については0.5%引き上げて25%とする。
 23年度予算について、メディアの評価は大きく異なる。ロイター通信は、年内の総選挙を見据えて大衆迎合的な政策が盛り込まれるとの予想が出ていたが、実際には財政規律を重視した予算案だったと評価した。一方、シンガポールのチャンネル・ニュース・アジアでは、複数の専門家が「選挙を見据えたポピュリズム予算」と酷評。ただし実際に票につながるかには疑問が残るとの声も出ている。


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