中国の国有自動車大手である第一汽車集団は来年、高級車ブランド「紅旗」をシンガポール市場に投入する。現地の大手自動車ディーラー、ユーロカーズ・グループをこのほど代理店に指名。まずは電気自動車（EV）のスポーツ多目的車（SUV）を販売する。

　最初に投入するモデルは全長5.1メートルのフルサイズSUV「E-HS9」。現地販売価格は未定だが、ビジネスタイムズによると、中国本土では約59万人民元（約1220万円）で販売されている。独BMWの「X5」や同メルセデス・ベンツの「GLE」などと競合する高級車で、シンガポールでは他に2モデルのSUVの販売も予定している。

　紅旗は第一汽車集団の高級ブランドとして1958年に創設。国家指導者向け車両として知られ、「中国のロールス・ロイス」とも称される。近年は海外展開を加速しており、シンガポールにも進出して同地域で存在感を高める構え。東南アジアでは今月初めにインドネシアでも代理店を指名している。

　ユーロカーズはBMWやマツダ、英ロールス・ロイスなど18ブランドを取り扱う地場大手で、紅旗専用のショールームを中心部レンキー・ロードに開設する計画としている。

　紅旗は今後5年間で「ゴールデン・サンフラワー」シリーズを含む20以上の新型モデルを世界投入する方針。2025年には世界販売50万台、30年には海外生産20万台体制の構築を目指す。同社の24年の世界販売台数は前年比17.4％増の約41万2000台で、うちEVとハイブリッド車（HV）が占める割合は合計で44％に達した。


内容についてのお問い合わせは＜info@ashuir.com＞まで。