アジア開発銀行（ADB）は9月30日発表した「アジア・太平洋経済見通し2025年9月版」で、東南アジアの25年の国内総生産（GDP）成長率予測を4.3％とし、2カ月前の前回発表から0.1ポイント引き上げた。主要6カ国のうちタイとベトナム、シンガポールで上方修正し、インドネシアは下方修正。残り2カ国は据え置いた。

　シンガポール（2.5％）は0.9ポイントの上方修正。上半期のGDP成長率（4.3％）が想定を上回る好調さだったことを踏まえて、予測を引き上げた。ただ下半期は米国の関税政策などにより成長が鈍化する見通しで、26年は関税の影響がさらに大きくなるとみている。

　タイ（2.0％）は0.2ポイント引き上げた。米国の関税引き上げに備えた前倒しの出荷で輸出が大きく伸びたうえ、政府の支援策などによって下半期以降も関税の影響を緩和できるとADBは見込む。一方、観光業の減速や国内の政情不安が下振れリスクになると指摘した。

　ベトナム（6.7％）は0.4ポイントの上方修正。下半期は輸出の減少が見込まれるものの、内需の拡大や外国直接投資（FDI）の増加が成長を下支えすると予測した。

　ほかマレーシア（4.3％）とフィリピン（5.6％）は据え置き。インドネシア（4.9％）は0.1ポイント引き下げた。

　主要国6カ国以外では、◆ブルネイ（1.0％）◆カンボジア（4.9％）◆ラオス（3.7％）◆ミャンマー（マイナス3.0％）◆東ティモール（3.8％）――と予測した。


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