電子部品向けの特殊化学品を製造する米マクダーミッド・アルファ・エレクトロニクス・ソリューションズは5月30日、西部トゥアス地区の工場拡張を完了したと発表した。低電気抵抗の接合材である銀焼結ペーストの生産能力を従来の2倍に引き上げ、電気自動車（EV）分野を中心に拡大する世界的な需要増に対応する。投資額は数百万米ドル規模で、フル稼働後は約100人を新たに雇用する。

　同社は「アーゴマックス」ブランドで銀焼結ペーストを製造。銀ナノ粒子を含んだペースト状の接合材で、高い熱伝導性と電気伝導性を持ち、低温・低圧で均質な接合を可能とする。その特性を生かしてEVの動力部分に使われるほか、電子機器の小型化や軽量化、高効率化にも寄与。工場拡張により、EV普及や電気部品の小型化で高まる需要を取り込む。

　同社はこの製品の量産拠点をシンガポールのみに置く。製品売上高はアジア市場が約60％を占め、特に中国や東南アジアでの需要が伸びているという。

　トム・ハンシンガー副社長は、シンガポールで追加投資を決めた理由として、知的財産権保護と研究開発（R&D）体制が整っている点を挙げた。南洋理工大学（NTU）との共同研究に加え、地元大学との人材育成事業にも参画し、エンジニアリングやR&D分野での採用を強化する方針としている。

　同社は特殊化学の米エレメント・ソリューションズの傘下。シンガポール国内に工場を3カ所展開し、銀焼結ペーストのほか、電子機器や半導体、表面処理、結合処理に使われる特殊化学品を製造している。現在は計250人超を雇用している。


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