シンガポール損害保険協会（GIA）の発表によると、同国損保業界の2024年の保険料収入は前年比6.3％増の108億シンガポールドル（約1兆2100億円）となり、堅調な成長を続けた。引受利益は5.6％増の6億4231万シンガポールドルだった。

　国内向け商品に限ると、保険料収入は8.3％拡大。ただ保険金支払いが大きく増加し、引受利益は前年比16.7％減の2億1904万シンガポールドルに落ち込んだ。物損や旅行、医療の各分野で保険金請求が2桁の伸びとなり、保険金支払いは14.4％増加した。同協会は保険金支払いの増加について、気候変動や医療費の高騰、修理・交換費の上昇が影響したと説明している。

　詳細をみると、旅行保険は保険料収入が5.1％増の3億1010万シンガポールドルとなった。地政学リスクや気候変動への懸念が高まり、旅行者の保険加入意識が高まっている。

　医療保険の保険料収入は15.9％増加。収支は534万シンガポールドルの黒字に転じた。ただし団体医療保険や手術特約では依然として損失が出ている。

　使用者賠償責任保険では、保険金支払いが4.9％減少した。重大な労働災害の件数が減ったことが背景とみられるが、業務中の交通事故が依然として多く、企業が作業員の移動手段の見直しを検討する要因となっている。


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