【亜州ビジネス編集部】配車・宅配サービス大手のグラブは、従業員の11％に当たる1000人を解雇する。コスト削減により長期的にサービス料を下げ、競争力を高める狙い。ストレーツ・タイムズが21日付で伝えた。

　アントニー・タン最高経営責任者（CEO）が従業員へ20日送付した人員削減についての通知をロイター通信が確認した。同CEOは、人工知能（AI）などの最新技術が次々と導入され、また資金調達コストも上がるなど事業環境がめまぐるしく変わる中、競争力を高めるための戦略が必要であり、人員削減は単に利益を出すために行うのではないとした。

　グラブはシンガポールのほか、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムで事業を展開。2023年第1四半期の売上高は前年同期比130.3％増の5億2500万米ドルと大きく伸びたが、2億5000万米ドルの赤字を計上した。同CEOは、人員削減しない場合でも23年通期は利益が出る見通しと説明。人員削減はあくまで長期的に競争力を付けるためとしている。

　同社の従業員数は22年末時点で1万1934人。最後に解雇を実施したのは新型コロナウイルス流行が始まった20年で、その数は360人。22年9月には大型の解雇を行う予定はないとしていた。


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