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  ニュース     2020/11/09 20:59

マレーシア:21年度の歳出2.5%増、過去最高規模に=予算案 無料記事

【亜州ビジネス編集部】財務省は6日、2021年度予算案を国会に提出した。歳出は前年比2.5%増の3225億リンギ(約8兆1000億円)で過去最大規模に設定。公共投資や新型コロナウイルス絡みの支出を含む開発支出を前年より4割近く増やし、経済の立て直しを後押しする。財政赤字は国内総生産(GDP)比5.4%と、20年見込みの6.0%からは抑えるものの、19年の3.2%から大幅に悪化することを許容する。各紙が伝えた。

 予算策定にあたり、21年のGDP成長率は6.5〜7.5%を想定。新型コロナ感染症の落ち着きとともに、世界の貿易や消費、景況感が上向き、20年のマイナス成長の反動もあって大幅なプラスになるとみている。21年のインフレ率は2.5%の見通し。また、20年5月に5.3%まで悪化した失業率は3.5%に低下すると見込む。

 歳出の内訳をみると、公共投資などの開発支出は全体の21.4%を占める690億リンギで、20年度予算から38%増やす。新型コロナ絡みの支出には歳出全体の5.3%に当たる170億リンギを充てる。一方、人件費や行政サービス費などを含む基礎的支出は前年比4.3%増の2267億リンギ。うち人件費が35.7%を占める845億リンギと最大で、公務員の年次昇給などで前年より2.3%増やす。

 歳入は2369億リンギに設定。製薬など重要産業への税優遇を拡大する一方、電子タバコ税を導入するなどして20年度予算の4.2%増しとするが、財政収支はGDP比5.4%の赤字を見込む。ザフルル・アジズ財務相は演説で、税収が低くても国民の生活を守ることに妥協しないと積極財政の姿勢を強調。財政赤字は21〜23年に平均でGDP比4.5%を目指すとしており、徐々に減らしていく考えだ。

 予算案発表を受けてアナリストや事業家らの反応をメディアが多く報じている。中には新型コロナ禍で大打撃を受けた中小企業や観光業への直接的な支援が薄いとの声もある。一方、世界銀行のエコノミストであるリチャード・リコード氏は、新型コロナにより世界経済のダウンサイドリスクが拭えず、国民生活への短期的な支援と中長期的な経済回復支援のバランスを適切に保つ必要がある中、総じて歓迎される内容だとしている。


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