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  ニュース     2020/08/06 23:59

フィリピン:2QのGDPは16.5%減、統計開始後で最大の下げ 無料記事

【亜州ビジネス編集部】フィリピン統計庁(PSA)は6日、2020年第2四半期の実質国内総生産(GDP)成長率が前年同期比マイナス16.5%(速報値)だったと発表した。マイナス成長は2四半期連続で、下げ幅は統計を取り始めた1981年以降で最大。新型コロナウイルス対策の外出・移動制限で経済活動が停滞し、前四半期のマイナス0.7%から大幅に悪化した。政府は20年通期のGDP成長率予測をマイナス5.5%に下方修正した。
 新型コロナ対策として3月半ばからルソン島を中心に外出・移動制限が敷かれたことなどが影響。GDPの7割を占める個人消費がマイナス15.5%だったほか、輸出がマイナス37.0%、固定資産投資がマイナス37.8%と大きく落ち込んだ。一方、新型コロナ対策の実施で政府支出はプラス22.1%だった。
 生産面から見ると、多くの産業でマイナス成長を記録した。一部を除き操業停止を強いられた製造業がマイナス21.3%だった他、移動制限で運輸・倉庫業はマイナス59.2%と落ち込みが激しかった。一方、情報通信業(プラス6.6%)や金融保険業(プラス6.8%)などはプラスを維持している。
 上半期のGDP成長率はマイナス9.0%。個人消費はマイナス7.8%だった。産業別では製造業がマイナス12.5%、運輸・倉庫業がマイナス36.6%と落ち込んだ。
 国家経済開発庁(NEDA)のチュア長官代行は、新型コロナが国内経済に対して過去にない大きな打撃を与えていると指摘。ただ、5月以降は工業生産額や輸出額などの落ち込みが緩和していると述べ、今後の回復に期待を示した。
■20年の政府予測、5.5%減に下方修正
 政府の予算調整委員会(DBCC)は同日、予算策定の前提となる各種マクロ経済指標の目標値を改定し、20年の実質GDP成長率(前年比)の予測をマイナス5.5%に引き下げたと発表した。新型コロナの流行や活動制限の影響などを考慮。これまでの予測のマイナス2.0〜マイナス3.4%から下方修正した。
 20年のインフレ率予測は1.75〜2.75%とし、上限を1.00ポイント引き下げた。ただ、インフレ目標は2.0〜4.0%に据え置いた。物品輸出額の予測は16.0%減に下方修正。ペソの対米ドルレートは1米ドル50〜52ペソとみている。


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