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  ニュース     2025/12/18 23:59 NEW!!

タイ:中銀が追加利下げ、2会合ぶり 無料記事

 タイ中央銀行は17日の金融政策決定会合で、政策金利(翌日物レポ金利)を0.25%引き下げ、1.25%とすることを全会一致で決定した。利下げは2会合ぶりで、4年半ぶりに利下げした昨年10月以降では5回目。この間に計1.25%引き下げた。景気減速リスクの高まりを受け、金融環境をより緩和的に運営する必要があるとみている。

 中銀は国内総生産(GDP)成長率について、2025年は2.2%、26年は1.5%、27年は2.3%と予測。25年下半期は製造業の一時的な停滞や外国人観光客数の減少、南部の洪水の影響で減速し、26年は個人消費と輸出の鈍化でさらに成長が弱まるとみる。27年はサービス部門主導で回復するものの、輸出や製造業は競争環境が引き続き厳しく、潜在成長率を下回る状態が続くとの見方を示した。

 インフレ予測は25年がマイナス0.1%、26年がプラス0.3%、27年がプラス1.0%といずれも下方修正。エネルギー価格の低下や政府補助金が主因だが、デフレリスクは低いとした。コアインフレ率は25~26年に0.8%、27年に1.0%と安定的に推移すると見込む。

 融資動向では、企業・個人向けともに信用が縮小し、中小企業や低所得層の信用状況が悪化していると指摘。銀行は高リスク層への貸し出しに慎重姿勢を続けているとした。政策金利の引き下げによって市場金利は低下しているものの、信用の回復には時間を要するとの認識を示した。

 為替については、通貨バーツが米ドルに対して域内でも有数の強さとなっていると指摘。米連邦準備理事会(FRB)の政策見通しの変化や国内要因を背景に上昇しており、中銀はバーツ相場の動向を注視し、過度な変動圧力をもたらす為替取引への対応策を検討する方針を示した。

■工業連盟、「不自然な」通貨高に懸念

 ネーションによると、タイ工業連盟(FTI)はこのほど、バーツが域内通貨に対して7%超上昇する「不自然な強さ」を示しているとして、中銀に対応を求めた。輸出と観光の競争力低下が深刻化しており、特にベトナムドンが対米ドルで下落する中、通貨動向の差が輸出産業に大きな不利をもたらしていると指摘した。

 同連盟は、バーツ高の背景に金取引や暗号資産(仮想通貨)を通じた不透明な資金流入がある可能性を挙げ、金の異常な輸出増加や「闇資金」が為替を不安定化させているとして、監督強化と規制の徹底を求めている。


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