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  ニュース     2025/07/30 20:57 NEW!!

シンガポール:金融政策の維持発表、国内経済堅調で緩和一服 無料記事

 シンガポール金融管理局(MAS)は30日、四半期ごとの金融政策見直しに関する声明を発表し、金融政策を維持すると発表した。1月と4月に2会合連続で緩和し、国内経済が堅調に推移する中、現行の金融政策が中期的な物価安定のリスクに対応可能な水準と判断した。

 MASは主要貿易相手国の通貨に対する為替レートの誘導目標を変えることで金融政策を調整。通貨バスケットに対するシンガポールドルの名目実効為替レート(NEER)の誘導目標について、傾斜と中央値、許容変動幅を変えて景気や物価の安定を図っており、今回はこれら全てを据え置いた。1月と4月の会合では傾斜を引き下げることで、シンガポールドルの上昇圧力を抑え、景気下支えの対策としていた。

 貿易産業省によると、25年第2四半期の実質国内総生産(GDP)成長率は前年同期比で4.3%(速報値)となり、第1四半期の4.1%に続いて堅調な推移を見せた。通年では0.0~2.0%の成長が見込まれており、足元の水準はこれを上回っている。

 上半期の成長をけん引した要因の一つは、米国の関税発動を見越した前倒し需要で、これによりシンガポールを含むアジア諸国の輸出が一時的に押し上げられた。MASはこうした効果が年後半には薄れ、貿易関連分野を中心に成長が鈍化するとの見通しを示した。

 一方で、建設や金融サービスは、インフラ投資の増加や金融環境の緩和を背景に底堅く推移するとの見方。ただし世界経済の不確実性や米中関係の行方次第では、再び成長の下押し圧力が強まる可能性もあるとしている。

■インフレ予想、0.5~1.5%に据え置き

 MASは物価動向について、インフレ率とコアインフレ率の25年予想をそれぞれ従来通り0.5~1.5%に据え置いた。コアインフレは5月から2カ月連続で前年同月比0.6%と低水準で推移しており、原油供給の安定や賃金上昇の鈍化、生産性の改善などを背景に、今後もインフレ上昇圧力は限定的とみている。ただしMASは声明で、不確実性が高まる中でインフレと成長リスクには警戒を続けるとしている。


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