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  ニュース     2025/10/09 20:58

タイ:中銀が政策金利据え置き、追加利下げ視野も 無料記事

 タイ中央銀行は8日の金融政策決定会合で、政策金利(翌日物レポ金利)を1.50%に据え置く決定を下した。金利維持はアナリストらの予想外。中銀は、景気回復の持続には緩和的政策の維持が必要としつつも、8月の前回会合で2会合ぶりに利下げしており、利下げ余地と効果発現のタイミングを考慮して追加利下げは見送った。

 ロイター通信によると、26人のエコノミストのうち19人が0.25ポイント、1人が0.50ポイントの利下げを予想していた。

 会合では委員7人のうち5人が据え置き、2人が0.25ポイントの利下げを主張。中銀は声明で、米国の通商政策が輸出に与える影響を警戒する一方、観光や内需は今後徐々に持ち直すとの見通しを示した。全体として金融環境の引き締まりを回避し、企業や家計の債務負担を抑える姿勢を示した。

 中銀は2025~26年の国内総生産(GDP)成長率をそれぞれ2.2%と1.6%を見込み、前回予測とほぼ同水準を維持。25年前半は製造業の前倒し生産や米国向け輸出で想定通りの拡大をみせたが、後半は米国の高関税措置や生産調整の影響で減速が見込まれるとみている。電子部品輸出は堅調に推移するものの、観光・民間消費の回復は緩やかとした。

 物価については、原油安や好天による農産物供給増でエネルギー・食品価格が下落し、インフレ率は25年に0.0%、26年に0.5%と低水準が続く見通し。中銀は「価格下落は一部品目にとどまり、デフレリスクは低い」と説明した。コアインフレ率は両年とも0.9%を見込む。ドバイ原油価格は25年通年で1バレル当たり70米ドル、翌年は65米ドルに下がると予測している。

 融資動向では、企業・個人向けともに与信が縮小し、特に中小企業の信用リスクが高まっていると指摘。銀行は高リスク層への新規貸出に慎重姿勢を強める一方、総融資残高は前年並みのマイナス成長が続いているとした。バーツ相場は年初来で米ドルに対し5%上昇しており、農産品や繊維など一部の輸出業者の収益圧迫要因になっているとした。

 中銀のサカポップ・パニャヌクル金融政策局長は、「緩和的な金融政策を維持し、経済の持続回復を下支えする」と説明。中銀は今後も物価と信用動向を注視し、必要に応じて政策スタンスを調整する構えを示している。


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