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  ニュース     2025/05/27 20:54

ベトナム:南北高速鉄道の建設、地場THACOも事業主に名乗り 無料記事

 自動車製造を主軸とする複合企業大手の地場チュオンハイ・グループ(THACOグループ)はこのほど、ハノイ市~ホーチミン市を結ぶ南北高速鉄道事業への投資を政府に提案した。同事業への民間投資の受け入れを明確に定めた昨年11月の国会決議172号(172/2024/QH15)に基づき事業参画を目指すもので、事業主として投資に名乗りを上げるのは複合企業大手のビングループに続き2社目となる。地元各紙が27日付で伝えた。

 同鉄道建設の総事業費は約1713兆ドン(約9兆4500億円)で、THACOはこのうち用地取得などを除いた本体部分に対し、約1562兆ドンを投じることを提案。20%に当たる312兆ドンを自己資金と新株発行で賄い、残る80%は国内外からの借り入れで調達する。政府に対しては、30年間の金利補助とプロジェクト資産を担保とした債務保証を要請している。

 事業は2期に分けて実施すると説明。第1期の5年間で、ホーチミン市~ニャチャン市(中南部カインホア省)、ハノイ市~北中部ハティン省の2区間を整備し、需要の高い地域から順次開業。第2期の2年間では残るハティン~ニャチャン区間を整備する。全体の完工は着工から7年後を見込む。

 導入する鉄道システムは欧州や日本、韓国などからの技術移転を前提とし、車両、信号、制御などの国産化を図る。併せて、国内産業の育成や重工業、デジタル産業への波及効果も見込む。運賃は国家が承認する水準とし、事業の採算性と70年間の運営期間を踏まえて設定されることを想定。また駅周辺の都市開発に関連して、用地の優先供与や税制優遇なども併せて求めている。

 THACOが事業を主導し、外資への譲渡は制限する考え。グループ内では、車両製造をTHACOインダストリーズ、インフラ施工と都市開発をTHADICO、商業施設や生活インフラ整備を商業サービス部門のTHISOがそれぞれ担当する体制を構築する。

 南北高速鉄道は全長1541キロメートルで、20省市を通過してハノイ市とホーチミン市を結ぶ。設計時速は350キロメートル。ハノイ市からホーチミン市までの所要時間は5時間20分を見込む。この案件については、ビングループも投資に名乗りを上げており、住民の立ち退き補償にかかる費用を除く1562兆ドンを投資する計画。うち20%(約312兆ドン)を自己資本で賄う考えで、残り80%は35年間無利子で政府から借り入れることを提案した。今年12月までに着工し、30年末までの全面開通を目指すとしている。


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