【亜州ビジネス編集部】2021年に中止されたシンガポールとクアラルンプールを結ぶ高速鉄道（HSR）の建設計画が再始動するもようだ。マレーシア財務省傘下の案件管理組織であるMyHSRコーポレーションのアブドゥル・ラウマン会長が明らかにしたもので、国内外の企業からの案件参加を募る。ニュー・ストレーツ・タイムズが12日付で伝えた。
　ラウマン氏は同日の記者会見で、マレーシア政府が再始動の方針を決めたとした上で、「シンガポール側にまだ障害はあるが、大きな障害にはならない。両政府が再始動に踏み切る」と述べた。案件は官民連携（PPP）で行われ、1兆5000億リンギ（約45兆円）の債務を抱えるマレーシア政府の財政に負担にならないと強調した。
　MyHSRは12日、国内外の企業から案件参加を募る初段階として、候補企業の基本情報や技術・製品を把握するための情報提供依頼書（RFI）の募集を公式サイトで開始した。11月15日に締め切る。
　ラウマン氏は、「HSR建設への関心は高く、多くの企業からRFIが提出されるだろう」と自信を示した。MyHSRのモハメド・カマル最高経営責任者（CEO）は、開通時期を指定するつもりはなく、全て投資企業の設計と投入金額によって決まるだろうとしている。
　21年に中止となったHSRは、シンガポールとクアラルンプールの約350キロメートルを90分で結ぶもの。13年にマレーシアのナジブ元首相がシンガポール側と建設に合意し、当初は26年の開通を目指していた。ただ18年に政権奪取したマハティール元首相が財政難などを理由に計画を凍結させ、その後も再開のめどが立たず、それまでシンガポール側で発生した費用をマレーシア側が支払うことを条件に21年1月に中止が決まった。


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