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  ニュース     2023/10/16 21:59

マレーシア:24年度予算案、財源と再分配にメス=歳出は過去最高 無料記事

【亜州ビジネス編集部】政府は13日、2024年度予算案を発表した。昨年11月に誕生したアンワル政権が初めて一から取り組んだ予算案で、財源確保と再分配にメスを入れて財政健全化を図る内容。歳出は過去最大規模に設定し、補助金を減らす代わりに貧困層への支援を厚くする。一方、キャピタルゲイン税やぜいたく税の導入などで富裕層の税負担を増やす。各紙が伝えた。
 歳出は3938億リンギ(約12兆4150億円)に設定。2月に発表した23年度修正予算案の3881億リンギを上回り、過去最高を更新する。内訳は、人件費や行政サービス費などを含む基礎的支出が3038億リンギ、公共投資などの開発支出が900億リンギに上る。歳入は1.5%増の3076億リンギに設定した。財政赤字は国内総生産(GDP)比4.3%で、23年見込みの5.0%、22年の5.6%から低下させる。
 歳出で特筆すべきは補助金の縮小。ロイター通信によると、アンワル首相兼財務相は、「富裕層にも大きな恩恵が生まれている」として、24年度から補助金削減に踏み切る。具体的には、軽油の補助金は運輸業者などを除き段階的に減らす。また需給の崩れを受けて鶏肉と鶏卵に一時的に出している補助金を打ち切る。一方、これらの削減で生じる予算を貧困層への現金支給に充てる。24年度の現金支給予算は100億リンギで、前年度から20億リンギ増やす。
 歳入では新税を導入する。未上場株を対象とするキャピタルゲイン税や、宝石や時計などの高級品購入に対するぜいたく税(5~10%)を導入。また現行の販売サービス税(SST)については、食品や飲料、通信を除き税率を6%から8%に引き上げる。
■公用車もEVシフトへ
 政府は24年度予算案で、公用車をエンジン車から電気自動車(EV)にシフトすると説明。公用車を国産に限る規制はなく、自動車専門サイトのポールタンは、米テスラや独メルセデンス・ベンツの高級EVが公用車に使われる可能性があると指摘している。
 なお政府は23年度予算案で、EV普及を後押しするため、関税と物品税を輸入完成車(CBU)については25年末、完全ノックダウン車(CKD)については27年末まで適用するとし、当初の計画から2年延長している。


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